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| フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 - 企業変革をチームで進める最強ツール - |
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1.本の紹介 この本は、ピーター・M.・センゲが著した『最強組織の法則』の実践版です。 前の本では実践よりも主に理論を紹介しており、その中で「学習する組織」の5つの原則を提唱しています。 この『フィールドブック 学習する組織「5つの能力」』は、この5つの原則を実践するための方法、ツールを具体的な事例を交えて紹介し、さらに実践の手助けとなる解説を加えています。 そして著者は、実際に演習を行ってみることを勧めています。 「学習する組織」の目指している姿は、経営トップやあらゆるレベルの従業員の意欲と学習能力を生かすすべを見いだした組織です。 ですから「学習する組織」を目指していくと会社のどこが変るのか? 会社のソフト面が変革されるのです。 時々申し上げていますが、組織変革の対象はハードとソフトの2つの側面が有ります。 ハード面とは戦略、組織編制、仕組みや制度のことです。 ソフト面とは組織の文化や風土のことです。 この本ではソフト面、つまり従業員の価値観や判断基準、ものの見方や考え方、問題解決のアプローチの仕方や方法等を、じわっと変えていくにはどうしたらいいのかを説明しています。 私的には、このソフト面を代表する会社の中の出来事というのは、その会社の会議のやり方だと思います。 学習する組織か? 学習できない組織か? その答えは、その会社の会議風景(進め方・話し合い方・役割自覚・態度・決定結果など)を観察すると一発で解るのではないかと思います。 2.本を選んだ動機 「学習する組織」の5つの原則(@システム思考、A自己実現、Bメンタルモデル(固定観念)、C共有ビジョン、Dチーム学習)のコトバを眺めていると、どこかで聞いたことがあるような気がしませんか? 岡本正耿氏が、講演などでこの中のいくつかは必ずお話されていることにお気づきでしょう。 一方で「学習する組織」の5つの原則は、1980年代の米国で「継続的に自己変革をしながら進化し続ける組織」をいかにしてつくっていくかということが、経営の重要な課題としてさかんに研究されたことから生まれてきました。 この上のカッコの中のコトバもどこかで読んだことがありますよね。 そうです。 経営品質向上プログラムは「継続的な経営革新を実現する組織体質をつくり上げる」ための考え方や方法ですから。 というわけで、私は『最強組織の法則』を読んでみたのですが、今ひとつピンとこなかったので、経営品質に取組む社内推進者として、もう一歩踏み込んでみようと読んでみました。 もうひとつの動機は、この本の監訳が、柴田昌治氏とスコラ・コンサルタントである事です。 個人的には柴田氏の『なぜ会社は変われないのか』『なんとか会社を変えてやろう』『ここから会社は変わり始めた』に深く感銘した時期がありました。 なぜ同氏が「学習する組織」に関心を抱いて監訳をしたのか、この両者の接点付近に組織変革の本質が潜んでいるような気がしたからです。 5つの原則(@システム思考、A自己実現、Bメンタルモデル(固定観念)、C共有ビジョン、Dチーム学習)のうちで、Bメンタルモデル、C共有ビジョン、Dチーム学習の3つについて以下に考察を述べてみます。 残りのふたつは私には重たすぎるテーマなので、ここにはポイントのみ記しておきます。 @システム思考とは・・・人間の営みをはじめ、あらゆる事物・事象を相互に関連し合った「システム」として捉える見方です。 「単独、単体、部分ではなく相互関係を、静止的な“断片”ではなく全体的な変化のパターンを捉えるための枠組み」です。 A自己実現とは・・・個人が人生を創造的な仕事として受け止め、絶え間なく自己の能力を押し広げようとする継続的な成長に対する取り組みです。 3.重要な論点と考察 1)論点:メンタルモデル(固定観念)について 〈メンタルモデル〉とは、私たちの心の中に固定化された暗黙のイメージやストーリー(仮説)のことです。 私たちは普段それを意識していない場合が多いが、人々あるいは組織が、現実をどう捉え、どう行動するかということに、メンタルモデルは大きく影響しています。 ◎ 組織変革において〈メンタルモデル〉が重要な理由は、経営トップや従業員の個々持っているメンタルモデルを浮き上がらせ、検証し、改善することが、変化と新しい行動を生み出す基本になるからです。 ◆考察◆ 経営品質に取組む際には、組織プロフィールで、顧客認識、競争認識、経営資源認識を、つまり経営トップや組織としての“認識”を考えてみることが必要です。 なぜならば、企業が激変するビジネス環境に絶えず適応し、成長していくことができるかどうかかは、組織のメンバーが共有している会社や市場、競争相手に関する“認識”のかたちをとったメンタルモデルを変えていけるかどうかにかかっているからです。 ◎ この本では、〈メンタルモデル〉に取組むための中心的なスキルとして「内省」と「探求」を紹介しています。 「内省」は、自らのメンタルモデルを見えるようにするスキルです。 また、他者とのやりとりの中で自分たちの見解をオープンに話し合い、聞き合いながら、それぞれのメンタルモデルを明らかにしていくスキルが「探求」です。 2)論点:共有ビジョンについて 〈共有ビジョン〉とは、組織のあらゆる人々が共通して持つ「私たちは何を創造したいのか」「自分たちはどうありたいのか」ということに関するビジョンです。 ◎ 組織変革において〈メンタルモデル〉が重要な理由は、共有ビジョンは組織のメンバーの個人ビジョンと結びつき、その構築のプロセスにメンバーが参加することによってコミットメントを生み出す力を持つからです。 ◆考察◆ 経営品質に取組む際に、組織プロフィールの一番最初に「組織全員で大切にしている共通の価値観はどのようなものですか?」と問いかけています。 さらにカテゴリー1「経営幹部のリーダーシップ」では「経営幹部は、組織が大切にする価値をどのように示し、価値を共有するために組織内外の関係者とのコミュニケーションをどのようにはかっていますか?」と問いかけています。 経営品質でいう価値(観)とは、まさしく〈共有ビジョン〉のことです。 それは、経営陣、経営企画室といった一部の人間やグループが作成して、いわば一方的に押しつけ、それに皆が従うというようなビジョンではなくて、組織のメンバーの個人ビジョンと結びつき、その構築のプロセスにメンバーが参加することによってコミットメントを生み出す力を持っているような組織のビジョンのことです。 ビジョンの構築においては、まず個人にとって「どんなビジョン、目的が本当に意味を持つのか」を考え、個人で、チームで、そして組織で「意味を共有化」することが焦点になります。 そういった対話が継続的になされることによって、共有ビジョンも意味を持つようになっていきます。 ◎ この本では、〈共有ビジョン〉に取組むための中心的なスキルとして、チームレベルで「共有ビジョン」と「目的」を定義する演習を紹介しています。 3)論点:チーム学習について 〈チーム学習〉とは、チームのメンバーが求める共通の成果を生み出すために、協働でチームの能力を伸ばしていくプロセスであり、それは〈共有ビジョン〉と〈自己実現〉のアプローチにもとづいています。 ◎ 組織変革において〈チーム学習〉が重要な理由は、現代の組織では、個人ではなくチームが学習の基礎単位であり、チームが学べなければ、組織は学ぶことができないからです。 最近、「チーム」での学習に焦点が当たっているのは、[A]複雑化した環境の中では意思決定や仕事の達成のために、個人ではなくチームが主要な基礎単位になってきていること、[B]チームの知力とパフォーマンスが個人のそれを上回ることが多いこと、[C]チームの中では個人が単独では不可能な“急速な成長”を遂げることができること、などの理由からです。 ◆考察◆ 経営品質アセスメント基準書の仕組みの評価(C)項目では、その組織の何を評価しているのでしょうか? 基準書には「プロセスや活動の実行を通じて何をどの様に学習しているのかに注目しています」と書いてあります。 つまりその組織が「学習する組織」にどの程度近づいているかどうかを評価していると考えます。 会社の中には経営幹部チーム、プロジェクトチーム、従来の部課制度で「課」を単に名前だけ変えたチーム等、色々あります。 そして会社の中のさまざまなプロセスは、組織横断型で進められますが、そのプロセスを実行するのはいろいろな人の“集まり”です。 この“集まり”が“単なる集団”か、それとも“チーム”かが大事になります。 なぜ、一人ひとりのIQ(知能指数)が120を超えていても、人々の“集まり”ではIQ85の力しか発揮できないのか? それは、“チーム”でなくて“単なる集団”だからです。 組織の中にいると、自分がチームのメンバーであることを意識せざるを得ないチームと、なんとなくメンバーになっている“集団”があります。 後者のような“集団”から、前者のような“チーム”の状態に変化していくプロセスが、ここで言う〈チーム学習〉と言えるでしょう。 言い換えれば、素晴らしいチームというのは「学習する組織」なのです。 つまり、自分たちが本当に望んでいるものに一歩一歩近づいていく能力を自分たちの力で高めていけるチームが、「学習する組織」なのです。 経営品質風にいうならば、〈チーム学習〉とは、 各アセスメント項目で着目しているプロセスに対して、 “チーム”がどの様にそのプロセス本来の目的を考えて、 “チーム”がどの様にプロセスを実行し、 “チーム”が実行を通してどの様に問題を発見し、 “チーム”がどの様に問題解決にアプローチしているか、 そして、 “チーム”がプロセスとしての成果を高めているか、 というような能力を学び続けることだと思います。 ◎ この本では、〈チーム学習〉に取組むための中心的なスキルとして「ダイアログ(対話)」と「スキルフル・ディスカッション」という2種類の対話形式を詳しく紹介しています。 (作成者 松下電子部品(株) 鍵谷清作 氏) |