
2006.10.31
三重県経営品質協議会 2006年度10月例会(現場見学会)
未来工業(株) 創業者 山田 昭男 氏
- 戦後日本は自民党一党支配という名の下の共産主義。 周りと同じことをしないと村八分。 日本は農耕民族、村八分にされることを異様に怖がる。 お上のやることにも異議は唱えないのが日本国民。
- 自分は「みんなと一緒」が嫌い。 政府が定年を60才から65才に引き上げたのなら当社は70才に、ということで70才定年を実現。 それも社員が少しでも長く働けるように71才になる前日まで。
- 70才で定年退職するまで給料は下げない。 それが経営の品質を保つことだと考える。
- 当社は約800人の社員全員が正社員。 自分はパート、アルバイトを使うことは嫌い。 同じ仕事をさせておいてパートは給料が安く正社員は高い、ということはおかしいと思っているから。
- 給料は、誰に聞いても「まあまあだな」と言われる程度が良い。 地元の同級生と比べ、あるいは親類縁者たちとの話の中で、当社の社員の給料が「まあまあだな」と言われる程度が。 多すぎるほど払ってやるつもりはないし、少なすぎるのは問題外。
- 経営品質というと難しく聞こえるが、要は「良い会社を作ろう」ということ。 それが経営品質の真髄ではないか。 長野にある寒天屋さんも社是に掲げているようだが。
- 昨年から日本の総人口が減。 人口が減ると経済も下がる、しかしその中で生き残りたい。 そのためには差別化。 ヨソとは違うことをしなければならない。
作るモノ、売り方、サービスも差別化。
- 当社は建築関係の電気製品の製造販売。 完全に規格化された分野。 材質、寸法、ビスのサイズまで法で定められている。 その中で松下や三菱、東芝といった大企業と競わなくてはならない。
- 松下幸之助さんいわく「儲けのない会社は社会悪だ」と。 悪い会社にはなりたくないから、また、電気屋さんに誉めてもらいたいから、いろいろと工夫してきた。 使いやすい、便利だと認められるような差別化を目指して。
- 差別化、誰がするのかというと社員。 差別化するのはけっして社長ではない。
- どんな業種でも先輩企業が存在する。 先輩はカネも客も持っている。 それでも起業したからには、差別化しかない。
- 差別化するためには、社員のやる気を育てる必要がある。 それは社長の仕事。 社員のやる気をどれだけ起こさせるか。 社長は、社員のやる気という木を育てるための肥料をやるのみ。
- 当社では年末年始は20日間の休み。 建築屋は年末に忙しい。 商品がないと当然怒りだす。 それでも休みを優先。 在庫を置いておき鍵は開けておくから、必要なら勝手に持っていって、と言わんばかり。
- 政府が作り出した国民の休日に倣って、当社では、火曜が旗日なら日曜との間に挟まれた月曜も休みに。 同じように、木曜が旗日なら土曜との間に挟まれた金曜も休みに。 そうやって4連休を作り出している。
- この地方の事業者に多い、8時〜5時の勤務時間ではなく、8:30〜16:45にした。
- サービス残業なんてバカなことはさせない。 一方、賃金を25%上乗せしなければならない残業手当も払いたくない。 だから残業禁止。
- 結果、日本で一番休みが多く、一番労働時間が少ない会社に。
- これらすべてのことは、社員が喜んでくれるだろう → 喜んでくれたらやる気を起こしてくれるだろう → やる気を起こしてくれたら差別化してくれるだろう、という思いから。
- そのために社内のいたるところに「常に考える」というメッセージ。
- それでも商品の差別化は容易ではない。 会社中に「常に考える」と書いてあるからと言ってできるも
のではない。 毎日の訓練が必要。急に「差別化しろ」と言われてできるものではない。 スポーツと同じ。 日々の練習が重要。
- 日本人はモノを生み出すのは苦手でも、作るのは上手い。 TV、車、カメラ然り。
- しかし一部に、高いモノが良いモノだと信じるフシが。 一方、すぐ安売りしたがる人間も。 カネの価値、高いか安いかは考え方ひとつ。
- 今回のように会社訪問などをすると、湯茶接待にペットボトルを置く会社がある。 当社ではご覧のように沸かしたお茶を湯飲みに入れて社員が運ぶ。 ペットボトルを出す会社は必ずこう言う。
「人件費が高いから」と。
- この考え方は誤り。 ペットボトルは経費がかかる、ということ以上に、お茶を入れて出すときの人件費と、ペットボトルを買って、代金を支払って、という人件費とどれだけ差がつくというのか。
社員は会社にいる間、どうせ人件費を支払わなければならない存在。 である以上、いる社員は使わなくてはもったいない。 人件費はタダだと言える。
- 何かを強制すると社員は不満を持つ。 経営者は社員の不満をどれだけ消せるか。
- 作業服ひとつとっても着用を強制されると不満を持つ。 しかも大抵の作業服がグレーとかブルーの見た目の悪いもの。
- もともと当社では、事務と現場とで異なる制服。 女子社員が事務の制服の方が見た目が良い、と言い出した。 たかだか制服なんぞのことで社員に不満を持たれることがバカらしいので、服装は自由にした。
- そうすると、無償貸与してきた作業服を社員が受け取らなくなるのだから、その分、現金を支給。 経費としては同じ。
- 一方、社員にとってみれば、給料は口座振込だから大抵、財布は奥さんに握られている。 そこにわずかとは言え、現金の支給がある。 これが喜ばれる。
- このように社員に嬉しいと思われることが、差別化を促進するうえでのエサに。
- 社員の提案制度の例。 どんな提案に対しても500円の報償。 以前は内容を見て判断していたが、こんなくだらない提案に報償を払うのかと思うと腹が立って仕方なく、健康にも悪い。
- そこで封を開ける前に500円を払うことに。 現金で。 そうすることによって、既に支払った報償に対して、あまり腹が立たない。 おまけに自分の健康のためにも良い影響が。
- さらに優れた提案内容には1万円、3万円、5万円の報償。
- 20件提案すれば1万円もらえるわけだから社員は喜ぶ。 実質はくだらない提案がほとんどだが、普段からの訓練のため。 急に提案せよ、と言ってもできるわけではないから。
以上 |
|